発達障害のコラム一覧

『手作業』について

春を感じる、過ごしやすい季節となってきました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

本州ではそろそろ桜も咲き始めます。ワークサポートデイケアでは季節に合わせてひな祭りの吊るし雛や、折り紙で桜を折るなど、春を彩るものを制作したりしています。

普段何気なく行っている手作業ですが、これは目で見たものや手で触れたものなどの感覚を処理し、手や指をなめらかに動かせるよう脳が機能しています。しかし発達障害がある人の中には、時間がかかってしまったり、ぎこちなくなってしまったりする方もいます。苦手だと自覚すると避けてしまうこともあります。

しかし、「何かを作る」というのは、何を作るかを想像したり、何が必要になるのか推測したり、どのように手を動かすことでどのような形が出来るのか考えたりと、たくさんの機能を使います。また、苦手だと思っている方も、試行錯誤しながら、作品を完成させると、「達成感」が得られるものです。

大人になるにつれ、手を使った作業は少しずつ減っていくでしょう。
しかし、みんなで作ることに取り組み、作るために考えたり、苦手を共有してみたり、完成作品に嬉しさを感じたり…そういったものの積み重ねも心の治療に大切かもしれません。
                                     (S)

講演会について

みなさま 雪まつりも終わり春が待ち遠しい今日この頃ですね。

さて当院では、1月19日に支援者向けの講演会
テーマ『メンタル不調 発達障害を抱える人の就職・就労について』を開催いたしました。
多くの方にご参加をいただきありがとうございました。
ご好評につきYouTubeで当クリニック 横山院長の講演をオンデマンド配信全8編で公開しています。成人発達障害についてこの機会に学んでみませんか。

YouTube https://www.youtube.com/@satsueki-clinic
【アップロード動画】
#chapter1~3
発達障害の定義について、その変遷や自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)について
#chapter4
成人発達障害の苦労や困難は特性由来のみなのか。発達障害者の学校生活について
#chapter5
当院の取り組み紹介
#chapter6
成人発達障害の不適応行動とは
#chapter7
負のスパイラル理論
#chapter8
成人発達障害の治療について

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になります。他医療機関通院中の方はご相談ください。
学校生活や就職活動で困ったときには、説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。ぜひお気軽に相談にいらしてください。(O)

ワークサポートデイケアの『特性シート』の紹介

寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

障害者雇用やオープン就労(病気や障害などを相手先に開示した上で行う就職活動・就労)を希望する場合、求人先に提出をする書類として履歴書、経歴書のほかに特性シート(障害の紹介と配慮依頼)があります。その中で今回はワークサポートデイケアで使用している特性シートについてご紹介します。

特性シートの記載内容は、「障害名」「手帳の種類」「等級」「取得日」「障害の特徴」に加え、自分でできる「障害の対処法」、職場へお願いしたいことを記載する「ご配慮を頂きたいこと」などの項目があります。また、通院の頻度や二次障害(うつや不安)による影響と対処法などを自由に記載する欄もあります。A4片面に各項目3点ほどでまとめられているため、見やすいという特徴があります。

記載した内容はデイケアメンバーや担当スタッフと再確認をしながら完成させます。また完成したシートは、求人先だけでなく障害者職業センターやハローワークとの連携の際にも共有できるとスムーズにやり取りを行うことができます。

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。
学校生活や就職活動で困ったときには、ぜひお気軽に相談にいらしてください。 (K)

ワークサポートデイケアプログラムのご紹介

新しい年を迎えていかがお過ごしでしょうか。
今回はワークサポートデイケアのプログラムについてご紹介します。

デイケアは平日9~18時の週5日、生活能力や社会性の向上、就活準備を目的としてグループワークを中心に行っています。
 サイコドラマ、認知行動療法等の心理療法、コミュニケーションスキルを磨くSST、映画を見て登場人物の気持ちを考える映画トレーニング、ビジネス場面を模してコンセンサス(合意)を取りながら課題に取り組むペア・グループワーク、運動プログラム等で構成されています。

 これらの基本プログラムのほかに、年に数回特別プログラムも行っています。今回は「9月祭」についてご紹介します。
 ワークサポートデイケアは3つのチームに分かれています。チームごとに話し合って出し物を考え、計画立案、買い出し、作成、展示までを行いました。取り組む中で報告・連絡・相談が必要となる場面も多く、コミュニケーションスキルを磨く機会となります。リーダー役、頼む、断るなど、個人が苦手とする課題に取り組む方もいます。
イベント当日は、それぞれのグループの、良く練られた展示や企画を楽しみました。終了後には感染症に配慮しながら、お茶とお菓子を楽しむ場を設けて互いを労いました。
 9月祭のほかにも、趣味や特技、知識を披露するプレゼン大会や、イラスト・写真・小説・手芸作品などを展示する「デイケアコミケ」も行っています。自分の得意分野を知ってもらうことで交流が広がり、自信をつける機会にもなる大好評のプログラムです。 (Y)

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

説明会は精神科の医療機関に繋がっていない方も参加できます。
学校生活や就職活動で困ったときには、ぜひお気軽に相談にいらしてください。

発達障害と感覚過敏

人は生活をしていく中で、感覚器官から様々な感覚や刺激を受けて生活をしています。目・耳・鼻・舌・皮膚を通して受ける刺激は五感と呼ばれ、自分を取り巻く環境を認識するためにとても重要なものです。
しかし、これらの刺激に敏感で強く反応してしまう感覚過敏という特性を持つ方がいます。多くの人は刺激に慣れて気にならなくなりますが、感覚過敏の特性を持つ方は刺激に慣れることが難しく、日々の生活の中で不快感や困難を抱えてしまいます。感覚過敏は大きく分けて以下の5つがあります。

○視覚過敏
日光や蛍光灯などの光が眩しく感じ、目を開けにくい症状があります。また、明るさ以外にも色や文字などの情報の多さにも影響を受けることがあります。

○聴覚過敏
時計の秒針の音やエアコンの音など小さな音が気になって集中できないことや、会話中に環境音が気になって、会話の内容に注意を向けることが出来ないなどの影響があります。

○嗅覚過敏
洗剤や飲食物、人や乗り物などの匂いに敏感で、吐き気や頭痛を起こす方もいます。公共交通機関や人混みなどを避けがちになる可能性もあります。

○味覚過敏
味に敏感で特定の味のものが食べられなかったり、食感や舌触りに敏感で偏食になったりします。濃い味付けのものや辛さが苦手な方も多いです。

○触覚過敏
特定の衣服の肌ざわりが苦手で着ることができなかったり、マスクの着用が苦手だったりします。人との接触が苦手な方も多いです。

感覚過敏の特徴を持つ人として、HSP(Highly Sensitive Person)という言葉が認知されてきておりますが、発達障害の自閉スペクトラム症の特性を持つ方も同様に、感覚過敏による生活上の困難を抱えている人が多いです。
感覚過敏は周りから理解がされにくく、「我慢が足りないだけ」「わがままな人」と誤解を受けがちです。感覚過敏をすぐに治すこと難しいですが、周囲に理解してもらうことや自分なりの対処法を持っておくことはとても重要なことです。

当院では、過敏さを抑える薬を処方する薬物療法に加えて、周りの人への配慮の求め方を学んだり、同じ特性を持つ方々の中で対処法を探ったりする集団療法も行っています。日々をより生きやすくするために相談してみてはいかがでしょうか。

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自己理解編②~就労準備評価スケールシートのご紹介 ~

お待たせいたしました。
前回に引き続き、自己理解がテーマです。今回は、使用しているスケールシートについてご紹介します。

<W-PASS(就労準備評価スケールシート)>
再就職に必要なスキルは多次元に渡り、様々な視点で自分の状況を理解していくことが重要です。

ワークサポートプラザには、就労準備評価スケールシート(W-PASS;Work Preparation Assessment Scale Sheet)があり、取り組みの進捗やDCに参加したことで変化してきたことなど、就労に対する準備がどの程度達成できているのかをチェックシート式で確認することが出来ます。W-PASSの項目は複数の観点から構成されており、幅広い視野で就労準備の程度を自己評価することが出来ます。また、ご自身の状況によって目標とするべき課題が明らかとなるため、見通しを持ちやすくなることもポイントのひとつです。
また、担当スタッフとW-PASSを使って課題を共有することが出来るため、相互の理解を深めながら、治療に役立てることもできるのです。

発達障害者の方の特徴として、自分を客観的に捉えることが苦手な傾向があります。令和6年4月から合理的配慮に関して一部改正となります(詳しくは、前回のコラム「発達障害者と就労②~自分の特性を理解する~もご覧ください」)。合理的配慮は当事者の方が職場に対して申し出るものですが、自身の状態を正しく伝えるためには、自己理解が重要となります。そのときのために、W-PASSを使って自分の状態を様々な観点で知る練習をしておきましょう。

現在、W-PASSに関する研究を行っており、精度向上のために都度改訂を行っています。
他にもワークサポートプラザには自己理解に役立つツールがたくさんあります。自己理解は自分1人で進めていくのではなく、相互の関係によって深まっていくと言われています。自分について知ることを、不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、他の参加者やスタッフ、医師と一緒に行うことでその気持ちが和らぐかもしれません。ぜひ、ワークサポートプラザで自分のことを知っていきましょう。

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自己理解編①~プログラムのご紹介 Biz Week~

今年は暑さがかなり厳しい夏となりましたが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。

前回のコラムでは、自己理解の大切さについて記載しました。
とはいえ、自己理解といっても、何から始めたらいいのかわからない、どのように理解を深めたらいいかピンとこないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、自己理解にきっと役立つ、ワークサポートデイケアで行っているプログラムや、活用しているスケールシートについて、2回に分けてご紹介したいと思います。

<Biz Week(通称 ビズウィーク)>
 職場に近い環境を想定して設定されたグループワーク型のプログラムであり、月に一度、連日で開催しています。服装や言葉遣いなども職場やフォーマルを意識して行うため、スーツで参加される方もいらっしゃいます。
 プログラムでは、課題を達成するだけが目的ではなく、コミュニケーションで感じた気持ちに焦点を当てて分析し、ご自身のコミュニケーションの特徴を知ることも目的です。グループワークでは、報連相に加え、「頼む」「断る」といったスキルも必要となってくるため、他プログラムで身につけたスキルを実際に試す事ができます。
このプログラムの魅力は、参加されている他のメンバーからフィードバックをもらえることです。自分が思っていたよりも良い印象をもたれていたり、逆に自信がない点について他のメンバーが実践しているアイディアを聞くことができたりします。集団だからこそ行える自己理解方法のひとつだと思います。

安心できる場で、お仕事で使う実践的なコミュニケーションの練習を行い、自信をつけた状態で就職を目指してみませんか?
次回は、就労準備の段階を自己理解するスケールシートについてご紹介します。お楽しみに!

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発達障害と就労② ~自分の特性を理解する~

暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

前回のコラムでは、採用面接で障害について伝えるポイントを書きました。今回は「自分の特性を理解する」というテーマでお話したいと思います。

【障害特性を知る】
令和3年に『障害者差別解消法』が改正され、令和6年4月1日から事業者に対し障害のある方への合理的配慮の提供が義務化されます。合理的配慮は障害のある方から「仕事や生活の中で障壁を取り除くための何らかの対応を必要としている」との意思が伝えられた場合に可能な範囲で必要な対応が行われます。)

職場に障害特性を伝えるためには、皆さん自身が自分の特性について正しく理解しておく必要があります。そうでなければ、必要としている配慮が職場に伝わらなかったり、誤解されたりする可能性があるからです。

では、どのようにして自分自身の特性を理解すれば良いのでしょうか。
例えば、ADHD(注意欠如多動症)の特性に不注意や衝動性、多動性といった
特徴がありますが、症状の程度や困りごとは一人一人違います。これまでの体験や日常生活での困りごとをふまえて、まずは主治医の先生に相談してみましょう。

【自分の強みを知る】
就職活動を進めるうえで、自分の強みを知ることは大切です。
障害特性と聞くと「~できない」などネガティブなことをイメージしやすいですが、見方を変えてみると、発達特性は強みとなります。例えば「衝動的に行動してしまう」は「行動力がある」と肯定的に捉えることもできます。過去の経験からどのような状況で特性が強みとして発揮されていたかを振り返ってみましょう。

【自分の強みを見つける方法】
では皆さんは「あなたの強みは何ですか?」と急に聞かれて答えることができるでしょうか。自分の強みを知るヒントは“周りの人から自分の強みを教えてもらう”ことです。普段から交流のある人は、自分では気づかなかった皆さんの長所をたくさん知っています。自分の強みを知るということは自信にも繋がります。

ワークサポートデイケアで行っているプログラムの中には、発達障害に関するレクチャーや自分自身の行動を振り返るプログラムがあります。
就職活動に向けて、自己理解を深めていきましょう!

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
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発達障害と就労① ~障害特性を伝える~

発達障害の方が就職活動を進めていくなかで、一般就労で就労を目指すか、障害者雇用で就労を目指すかを迷う方がいらっしゃいます。

【障害者雇用とは?】
一般就労とは企業の応募条件を満たせば、誰でも応募できる一般的な雇用形態です。これに対して障害者雇用は障害者手帳を所持している方が応募でき、その障害の特性から生じる仕事での困難さに対して企業から必要な配慮を受けながら働く雇用形態です。配慮を受けることで障害のある方が本来の力を発揮しやすくなります。配慮の例として以下のようなものがあります。
・曖昧な指示ではなく、数値など具体的な指示を出してもらう。
・定期的に上司と面談を行い、業務での困りごとを相談できるようにする。
・体調を考慮し、勤務時間や休憩時間を調整してもらう。
※このような配慮のことを合理的配慮といいますが、すべての配慮が受けられるとは限りません。

障害者手帳を所持している方は必ずしも障害者雇用での就労をしないといけないわけではありません。障害者雇用は配慮を受けやすいという特徴はありますが、一般就労に比べると求人数が少なく、職種も限定されやすいです。どちらの雇用枠が自分に合っているかはそれぞれの特徴を理解したうえで、判断すると良いでしょう。

【障害について伝える】
障害者雇用での就労を検討している場合、障害の内容や必要な配慮について職場に伝える必要があります。
たとえば、「私はADHDの診断を受けています」と診断名だけを伝えたとしても、企業側は皆さんが何に困っているのか、どのような配慮が必要なのかが分かりません。障害特性を伝える際には以下のことがポイントです。
・困りごとを具体的に説明する。
・困りごとに対して自分で行っている工夫を伝える。
・そのうえで配慮してほしい点を伝える。

いきなり障害の説明や配慮してほしい点を伝えるのは難しいと思います。
職場に障害特性を伝えるためにはまず「自分の特性を理解する」ことが必要です。
次回はどのようにして特性を理解していくのかについて掲載します!

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
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障害について

私は目が悪いので普段コンタクトレンズを使用しています。でも夕方になると目がしばしばしてくるので目薬を常に用意しています。
帰宅後や休みの日には目を休ませるために、コンタクトはせずにメガネを使っています。
視力はかなり悪いのですが、視覚障がいと思ったことはありません。

それは、たとえ視力が悪くても、コンタクトレンズやメガネを使用することで日常生活に支障がないからです。目が疲れた時には軽くマッサージをしたり、定期的な受診で視力に合った度数に変えるなどメンテナンスもしています。それでもよく見えない時には、近づいてみたり、周りの人に確認したりすることで支障なく仕事をしたり生活ができているのです。

デイケアに参加し始めた方の中に
「『発達障害』と診断されて障がい者扱いされるのではないか」と、
落ち込む方がいらっしゃいます。
確かに診断名の中に『障害』という言葉が入っているのでインパクトは大きいと思います。
発達障害は症状が千差万別で、その程度も人それぞれです。
衝動性が強いタイプの方の中にはよくけがをする方がいます。緊張が強くて自宅から出るのもやっとの方もいます。その一方で、多少衝動的ではあるが新しいことにチェレンジして活動範囲を広げている方や、半端ない集中力を仕事に生かしている方もいらっしゃいます。

コンタクトレンズのように、あなたの困りごとに使えそうなアイテムは何でしょう?
例えば約束を忘れたり、忘れ物が多い方はスマホのリマインダーを使って「見える化」するとよいでしょう。TODOリストを使用する方法もあります。
コンタクトレンズに代わるメガネはなんでしょう?
話すのが苦手な方は、話の上手な方と話をしてみてはいかがでしょう。お手本を真似してみるのもよいでしょう。
困ったことを相談したり、愚痴を聞いてもらったり、新しい知識を得たりして心のメンテナンスをしてみてください。
そうしているうちにこれまでのやり方、対処方法以外の思ってもいなかった新しい方法を手にしていつの間にか困りごとが小さくなり、自分の努力だけでは解決しないことは、周りの人に上手にSOSを出せるようになれば更に暮らしやすくなるでしょう。

たとえ『発達障害』と診断されても生活するうえで困ることがなければ、それは『障害』ではないのです。自分の特性を仕事やプライベートに生かせる生き方を一緒に考えて行きましょう! (O)

発達障害(ADHD)で困りがちな、ついつい繰り返す「先延ばし」の行動習慣を改善しよう ②

✎ どうしたら長期的にメリットのある行動ができるの?
   前回のコラムでは、人はついつい短期的なメリット(目先の利益)にばかり着目してしまい、長期的に(結果的に)よくない行動を繰り返してしまいがち、というお話をしました。
   例えば、ついついゲームがやめられない、衝動買いしてしまう、家事や仕事を先延ばししてしまう、などです。
   では、どうすれば長期的に自分にとって望ましく、価値のある行動がとれるのでしょうか。

✎ 行動化のコツ1: 行動の順番を変えてみる
上記のような「やりたい行動」の前に「やるべき行動」をしてみましょう。
   ついつい、「このテレビを見終わったら ➡ 家事をやろう」と考えがちですが、「家事をやったら ➡ 好きなテレビを見よう」と順番を変えるのです。
   単純なことですが、これによって望ましい行動(例:家事をすること)が増えていくでしょう。
   これは心理学の行動実験でも証明されています。
   
   わかっているけど難しい?
では、次のコツはどうでしょう。

✎ 行動化のコツ2: 具体的なプランにする
「明日からダイエットしてください」と言われるのと、「朝ご飯は900カロリー、お昼と夕食を700カロリーに抑えることを目指します。
まずは今どのくらいのカロリーを摂取しているのか、1週間の食べたご飯を記録してみましょう」
と言われるのでは、どちらの行動が実行しやすいですか?

行動はできるだけ具体的にすることで、より実効度が上がります。
そのためには、「いつ」「どこで」「何を」「どのくらい(できるだけ数値化)」を意識してプランを立ててみましょう。

✎ 行動化のコツ3: 別の行動に置き換える
例えば、「イライラしたときの衝動買いをやめたい」という行動プランを立てた人がいます。
しかし、人は「~しない」というプランは行動化することがとても難しいです。
なぜなら、「~しない」というのは、「行動」ではないからです。
(極端ですが、「~しない」というのは、生命体以外の物体でもできます)
行動にするためには、「~する」というプランに置き換える必要があります。

ここでカギとなるのが「代替行動」と言われるものです。
「イライラしたとき」の対処法として「衝動買い」があるのであれば、
その代わりの行動を考えましょう。
例えば、「温泉に行く」「友達と遊ぶ」「趣味の登山に行く」など。
ある行動をやめたいときには、別の行動に置き換えるのが行動化のコツになります。

✎ 行動化のコツ4: 行動しやすい仕掛けを作る
「洗濯機が終わったらすぐに干したいけど、ついつい先延ばしして、翌日に洗いなおすことも・・」なんていう経験はありませんか?
そんなときは、「洗濯物を干しやすくする」ための仕掛けを作ることをお勧めします。
例えば、物干しスタンドをテレビの前やトイレの前に置いておきます。
そうすることで、「テレビをみるためには、まずは洗濯物を干してしまおう」という、行動が必然的に誘発されます。
少なくとも、一度は「物干しスタンドを触る」という行動までは実行できるはずです。
つまり、「その行動をせざるを得ない環境を作る」ことがポイントです。

以上、ついつい繰り返す行動の対策法について、いかがだったでしょうか。

とは言っても、なかなか一人ではプラン計画や実行が難しいときもあると思います。
大丈夫です!
そういった日常のお悩みにも、経験豊富な医師やスタッフが、ご一緒にお悩みの解決のサポートをいたします。
是非、お気軽にご連絡ください。(O)

発達障害(ADHD)で困りがちな、ついつい繰り返す「先延ばし」の行動習慣を改善しよう ①

✎ 皆さんはこういった経験はありませんか?
・ 面倒な仕事をついつい先延ばしにしていまう。
・ 書類の整理を後回しにして溜まってしまう。
・ 仕事でわからないことがあっても、上司に話しかけられず、先延ばししてしまう。
・ 寝る前や朝のスマホがやめられない。
・ 家事よりも趣味を優先して寝るのが遅くなり、翌日に響いてしまう。

✎ ついついやってしまうのは何故?
わかっているのに、なぜ繰り返してしまうのでしょうか。
例えば、仕事を先延ばししてしまう原因は何でしょう。

・ 単純な事務処理作業は面倒だから
・ あの業務は億劫と感じてしまうから
・ 上司に相談して嫌な顔をされたくないから

などでしょうか。
でも、原因がわかってもなかなか変えられないですよね。

✎ 短期的な結果を考えよう
ここで大切なのは、原因だけでなく「結果」に目をむけることです。
結果には「長期的」なものと「短期的」なものがあり、ついついやってしまう行動のメカニズムには、必ず「短期的なメリット」が隠されています。
例えば、仕事を先伸ばしする短期的な結果はどうでしょう。

・ 今、嫌なことをせずに済むので楽になる
・ 自分の好きな仕事ができる
・ 上司に相談しなくても良いので気が楽になる

などでしょうか。

✎ 長期的な結果を考えよう
しかし、長期的な結果を考えるとどうでしょうか。

・ 仕事が遅れて、周囲からの評価が下がる
・ 業務が溜まって終わらなくなる
・ 仕事ができないと落ち込んで憂うつになる
・ 後々上司に「まだ終わっていないのか」「なぜ相談しなかった」などと指摘される

といったデメリットが生じる可能性がありますね。
つまり、短期的にはメリットはあるのですが、長期的にはデメリットのほうが大きいとわかります。

✎ ADHDは特に短期的メリットに注目しやすい
上記のパターンは、誰しもがよく当てはまりがちなのですが、特にADHD傾向をお持ちの方は「報酬系機能」という脳機能の働きに特徴があり、短期的な報酬(すぐに得られるメリット)に目が向きやすく、長期的な報酬(後々得られるより大きなメリット)を待ちきれない傾向があります。
つまり、より顕著に先延ばし傾向が生じやすいといえます。

また、短期的に快楽を得られるゲームの課金や、衝動買い、ギャンブル、衝動的な言動なども、こういった報酬系機能が関連しているといわれています。

✎ みなさんはどうでしたか
まずは、ご自身にこのようなお困りごとや特徴がないか、普段の生活やお仕事などを振り返ってみましょう。
当院の就労支援デイケアでは、こういったお悩みなどもご一緒に相談していくことができます。
是非、お気軽にご連絡ください。

次回、これらの対処法について、続きを掲載いたします!

ワークサポートデイケアの紹介4 ~話の内容を理解するために~

寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

皆さんは職場の上司や家族から頼みごとをされたときに、その内容を忘れてしまうといった経験はないでしょうか。
また、「上手くメモが取れない」「メモに集中して話を聞き取れない」という経験もあるかもしれません。
発達障害をお持ちの方は「書きながら聞く」といった並行作業が苦手な傾向にあります。
仕事で指示内容を覚えられず、周りから指摘される経験を繰り返し、自信を失ってしまう。
さらには「また指摘されるのではないか」と不安になり、中々質問や相談することができないといった悪循環に陥ることもあります。

ワークサポートデイケアでは仕事に必要な作業スキルを獲得するために「朝作業」の時間が毎日あります。
その中で行っている「動画要約」は、動画や音声の内容を記憶(インプット)し、それを相手に伝える(アウトプット)ことが目的です。
繰り返し取り組むことでメモのコツをつかんだり、要点を抑えて上手に説明したりするスキルを身に付けていきます。

また、コミュニケーションに自信がない方は、「うまく聞き取れなかった」、
「もう一度言ってほしい」と感じていても相手に確認することが苦手と感じる場合があります。
そういった方はSST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)で相手に確認する練習をすることもできます。

「うまくできない」と思っていても色々な方面からのアプローチができます。
自分に合った対処法を見つけて、コミュニケーションスキルを高めていきましょう!

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。
学校生活や就職活動で困ったときには、ぜひお気軽に相談にいらしてください。

ワークサポートデイケアのご紹介3 ~うまく時間を使えるように~

あけましておめでとうございます。新年いかがお過ごしでしょうか。
当院は年末年始合わせて6日間のお休みが明けて通常業務に戻りました。

ワークサポートデイケアでは皆さんが生活リズムを整えるために月曜日から金曜日(9:00~18:00)までの週5日をデイケアで過ごしています。年末年始のお休みでリフレッシュしたという方もいるかと思いますが、生活の流れが変わって元のリズムに戻すのが大変という方もいます。また、長い休みをどのように使ったらよいかわかない方も多くいらっしゃいます。
このように発達障害をお持ちの方の中には「時間」の使い方に苦労される場合があります。

ワークサポートデイケアの活動の中に「個人作業」の時間があります。
与えられた作業をするのではなく、自ら設定した課題に取り組む時間です。ゆっくりと本を読んだり、履歴書を作成するなどの就職活動の時間にあてたり、趣味のイラストを描いたりと与えられた時間を計画的に使う練習の時間となっています。

また、「わいわい」という時間もあります。
個人作業の時間は静かに過ごす時間ですが、「わいわい」の時間は周囲の方とコミュニケーションをとる時間となり、同じ興味を持つ同士が集まって情報交換したり、普段の困りごとを相談したりしながら、SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)などで練習したことを実践する時間となります。

「課題に取り組む」といったら堅苦しく思うかもしれませんが、デイケアの生活を通して、皆さんで楽しみながら成長していきましょう!

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。
学校生活や就職活動で困ったときには、ぜひお気軽に相談にいらしてください。

ワークサポートデイケアのご紹介2 ~就職に向けて悩みを抱えていませんか?~

皆様 いかがお過ごしでしょうか。

来年の春に向けて就職を控えている方々、就職活動の苦労や就職後の人間関係に不安を抱えていませんか。
当院で行っている発達障害専門外来では、多くの方がこのような悩みを抱えて受診をされています。
また、ワークサポートデイケアでは、多くの方が自分の悩みに向き合いスキルを身につけるために通われています。

ワークサポートデイケアのグループワークの一部を紹介いたします。
SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)では、日ごろ困っていること『頼む』『断る』『面接』等の様々なテーマを設定して、そのポイントのレクチャーをします。そして場面を想定してロールプレイを用いて実践的な練習をします。
CBGT(Cognitive Behavior Therapy:認知行動療法)では、自分自身の物事の捉え方や行動のクセを把握して対処する方法をグループで学びます。
サイコドラマとは、ご自身に起こった出来事を即興劇で振り返り、気持ちの整理や新しい気付きを得ることができる集団心理学的技法です。

また、楽しみながらコミュニケーションを身につけられるようボードゲームやswitchを利用しています。同じ悩みを持つ方と互いの悩みを語り合うことはとても有意義な時間になります。
学生の方は、冬季休みや春休みの期間だけ参加をされる方もいます。また、求職中の方は就職活動の練習として参加をされています。

ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。
学校生活や就職活動で困ったときには、ぜひお気軽に相談にいらしてください。

ワークサポートデイケアの紹介  ~学生の皆様~ (学校生活や就職活動で悩みを抱えていませんか?)

皆様、夏休みはいかがでしたでしょうか。

夏休みを終えて、大学生・専門学校の学生さんは授業が再開されますね。
しかし、長期の休みがあけて、対人関係の交流が活発になると同時に、それらの悩みも多くなる時期かもしれません。
また、就職を控えている方々は、就職活動の苦労や、就職後の人間関係に不安を抱えていませんか。

当院で行っているワークサポートデイケアでは、多くの方が同じような悩みを持っています。

日々デイケアでは、互いの悩みに向き合い自分に合ったスキルを身につける学習をしています。
例えば、SSTやサイコドラマ、認知行動療法、ASD専門プログラムなど、それぞれ悩みに特化したプログラムを行っています。
また、就労準備プログラムでは、就職に関する講座や基本マナー、社会人の基礎知識などを学んでいます。
一方で、楽しみながらコミュニケーションスキルを身につけるために、卓球やゲーム(Switchやボードゲーム)を利用した取り組みもしています。

特に9月の1か月間はいろいろな行事を行っています。
治療や就職に役立つ講演会、外出行事やWS祭(参加者で作る催し)を実施します。


ワークサポートデイケアは医療デイケアとなり、保険診療が適応されます。
医師診察が必要になるため、他医療機関通院中の方はご相談ください。

学校生活や就職活動で困ったときには、説明会は医療に繋がっていない方も参加できます。ぜひお気軽に相談にいらしてください。

第8章 新しい取り組みと自閉スペクトラム症 ②自閉スペクトラム症のある人を対象にした会話型ロールプレイングゲーム(TRPG)を通じた楽しいコミュニケーションの体験

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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あなたは「TRPG」という言葉を聞いたことがありますか?TRPGとは、参加者同士がコミュニケーションを取りながら物語を作り上げていく会話型のテーブルゲームの総称です。

自閉スペクトラム症(ASD)などの発達特性を持つ方はその独特な認知や感覚の特性から周囲の人と関わる時の適切なふるまいを学習する機会が乏しく、相手と適切な関係を築いたり、関係を維持することが難しいと言われています。また、学校や集団生活の中で他の人たちと同じようにすることができず、注意や叱責を受ける経験が多くなる傾向があります。こういった体験の積み重ねは本人から自信を奪い、自己評価を低下させて、ますます他者と関わる活動への参加意欲を削いでします。

TRPGはASDなどの発達特性を持つ方でも積極的にコミュニケーションを取ったり、笑いながら楽しめる要素がたくさん詰まっています。ASDの方は暗黙のルールを理解しづらいと言われますが、TRPGのようにルールが言語的に明示されていると、主体的な発言や行動が促されます。また、「戦士」や「魔術師」のように役割が明確化されているため、何をすれば良いか分からないといったことも少ないのが特徴です。

TRPG活動に参加したASDのある方を対象とした生活の質(QOL)に関するアンケート調査を行ったところ、QOLの得点がTRPG活動の参加前後で有意に増加したという結果が出ており、TRPGが彼らの生活を豊かにする余暇活動となっていることが示唆されました。


当院のデイケアでは、参加者同士が自由に交流できる自主活動の時間を設けています。発達障害の方の中には、「仕事に関する話はできるけど雑談になると何を話せば良いか分からない」という方がけっこういらっしゃいます。自主活動の時間はそういった方にとって、カジュアルな場面でのコミュニケーションを練習する機会となっています。

第8章 新しい取り組みと自閉スペクトラム症 ①世田谷区受託事業「みつけばルーム」の取り組み

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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東京都世田谷区にある「みつけばルーム」では、発達凹凸特性のある若者を対象に多彩なワークショップを開催することで、生きるヒントになる「ナニか」をみつける機会を提供しています。みつけばルームの大きな特徴は、自閉スペクトラム症などの発達凹凸特性のある成人当事者がサポートを行っていることです。このように、同じような境遇にある仲間がサポートを行うことを「ピアサポート」といいます。

 みつけばルームでは、利用者の参加動機に働きかけ、活動のなかで「安心する」「楽しい」という気持ちを喚起させるために、マニアックで知的好奇心をくすぐるワークショップが開催されています。ワークショップの目的は、楽しいと思える時間のなかで、自分のペースで気持ちを表現し、それを他者と共有し合う経験をすることです。このような経験を通して自分を発見し、理解することで、新しいことにチャレンジする自信や元気を育むことができます。利用者にアンケート調査を行ったところ、みつけばルームが単なる物理的居場所ではなく、心の拠り所となる関係性や安心感があり、ありのままの自分が受容される「心理的居場所」としても機能していることが示唆されました。また、職場や家庭など日所生活の場においても自分の思考や感情、行動にポジティブな変化があり、新しいことへのチャレンジがみられています。

 近年、ASDなど発達凹凸特性を機能不全や障害ではなく、認知スタイルの違いとして捉える「神経多様性(neurodiversity)」という考え方が広まっています。例えば、ASD者は対人コミュニケーションや社会性の困難さがあるとされていますが、それはASD特性に合わないスタイルを求められているためで、ASD者にはASDの流儀が存在し、それを共有することができる関係やコミュニティにおいては、共感を伴うコミュニケーションが成立し、活性化するのです。


当院の発達障害ワークサポートプラザでは、自分と同じような困りごとや悩みを抱えている仲間と交流し、自己表現する経験を通して、自分の特性と向き合い、その人らしく生きられるようになるお手伝いをしたいと考えています。

第7章 描画療法と自閉症スペクトラム―自分らしく生きるためのアプローチー

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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臨床描画法は、ASD児者の「表現できない心の世界」や「自分らしい生き方」を視覚的に共有することができる技法です。中でも「○△□物語法」は、クライエントが過去に体験した図工や美術への苦手意識を再燃させることなく安全に、「日常生活場面での困難さ」と「自分らしい生き方」の狭間で生じる葛藤を表現することができます。

また、臨床描画と同じようにセラピストがASD児者の「心の揺れ」を共有できるものが、漫画です。面接時にクライエントが自ら漫画を持参し、漫画を通して「自分らしい生き方」を理解してもらおうとするなど、主体的に「“自分”を生成させて」いこうとする行為を、セラピストが「このままでも大丈夫」と支えることが、ASD児者の「主体性の回復」につながるのです。

最近の研究では、ASD者が抱える発達障害特性だけでなく、併存症への理解と対応が重要であると言われています。幼少期から長期的な支援を受けているASD者の場合、成長するにつれ言語性IQが高くなっていく事例が多くみられます。これは社会性の成長として喜ぶべきことではありますが、一方で、周囲の人々の表情や自分への評価が理解できるようになり、新たな苦悩として抑うつ状態や不安性障害の依存症に繋がる可能性が高まるということにも留意する必要があります。このような、ASD者の多くが抱える内在化障害は臨床描画では測りづらいため、臨床描画法の限界を理解しつつ、内在化障害のリスクにも焦点を当てることが青年期ASD理解の一歩になります。


当院では相手の心情や表情、場面の背景等、感情認知のトレーニングの一つとして映画(アニメ映画)を用いたプログラムを実践しています。ASDを抱える仲間たちと映画を視聴した後、登場人物の気持ちを想像して語り合う中で、多様な感じ方、考え方を知ることができます。また、映画の人物と過去の経験を重ね、楽しかった思い出を共有したり、過去の苦労を労い合う中で生じる癒し体験は、過去の対人関係悪化のスパイラルを緩める効果があると考えらえています。

第6章 受容的交流療法と自閉スペクトラム症―主体性を重視したアプローチ―

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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発達障害と言っても様々な種類があり、自閉スペクトラム症(以下:ASD)はそのうちのひとつです。ASDの性質がある幼児や学童には療育というアプローチがあります。療育では、衣類の着脱や食事摂取の自立、認知機能の発達、就学に向けた集団場面での適応を目指します。また、療育のカテゴリーには入りませんが、就学すると同時に教科学習も始まります。このように療育や教育によって、生活上の自立を促し知識を増やすことも重要ですが、こころを成長させるためのアプローチも忘れてはいけません。

ASDの性質をもつ人はその特徴によって基本的な信頼関係を構築できず、新しい人間関係を築く際にも過敏にならざるを得ませんが、こころが成長するためには人との関わりが不可欠であると言われています。こころの成長を促す方法として受容的交流療法を紹介します。受容的交流療法の名前を分解して詳しく説明すると、受容とはASDの性質をありのまま受け入れる姿勢のことを指し、交流とは人との関わりのことを意味しています。この療法に影響を与えた理論のひとつとして、当院でも行っているサイコドラマが挙げられています。サイコドラマとは、参加するメンバーが自分の人生や生活を即興的なドラマという形で自己表現することによって解放され、自己洞察を助ける集団精神療法です。サイコドラマでは、メンバーとの一体感を経験でき、自己を客観視し見つめなおすことができます。


 当院ではサイコドラマをはじめとした相互的なやり取りによって生じる気持ちを大切に扱っています。こころを成長させ、ASD性質との新たな関わりを模索してみませんか。


第5章 自閉スペクトラム症のある人への精神療法の基本姿勢―事例からの検討―

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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今回紹介する事例報告に書かれている方は、学習成績は良好ですが、他人が何を考えているか理解出来ない、自分の考えやイメージを持っていても言葉を組み立てるまでに時間が掛かる、それに伴って交流を避ける、一般的な“正しい”基準と自分の思いとの違いに混乱するといった特徴が見られ、大学進学後に困難さが生じました。自分の考えが脅かされる怖さや怒りが感じながら生活し、カウンセリングが進む中で他者と分かり合えない寂しさや周囲の支援や配慮を受け続けている自分自身への苛立ちを表現しています。その後、自分の思いを言葉にする事や職場での対人関係に対する不安や葛藤について語られ続けました。同時に、母親は幼少期に特異な点は無かったものの本人の様子を見て変化に気づいた事やカウンセリングが進む中で親として何もしていなかった事への申し訳なさを語っていました。

自閉症スペクトラム症の特性を強く持つと、自らの感覚の過敏さが見られ、それに伴って外からの影響を避ける事が出来ないために疲弊し、その不安や緊迫感の中で安心した他者関係を築く事に対して困難を感じると言われています。事例の中では、この方の表現する言葉をカウンセラーが待ってくれるという体験によって関係を築く事ができ、家族以外の理解者を得る事が出来ました。


当院では、発達障害の特性を抱える方が集まる就労支援デイケアで、他者との交流から自己理解を深めることや体験を共有すること、自身の気持ちや考えを主張する練習を行うプログラムを行っています。自分の気持ちや体験してきた苦労を共有してみてはいかがでしょうか。

第4章 自閉スペクトラム症への日記療法について

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。
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日記療法は、森田療法を基に開発されました。森田療法は強迫性障害や対人恐怖症等の神経症圏を対象とした、日本人特性に合わせて開発された精神療法です。身体の不調や心理的変化があった時、注意を向け過ぎたり、取り除こうとすることで逆に不調感が増大するという経験はないでしょうか。これを精神交互作用と呼びます。森田療法はこの観点から、患者さんが症状へのとらわれから脱して「あるがまま」の心の姿勢を受け入れられるよう援助します。「あるがまま」の姿勢とは、不安や症状を排除しようとする行動や心のやりくりをやめ、そのままにしておく態度を養うことです。自分を受け入れ自分らしい生き方を実現することが森田療法の最終的な目標になります。

第3章 サイコドラマの視点からの自閉スペクトラム症のある人へのアプローチ

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。今回は当院院長が執筆した章です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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サイコドラマとは、精神科医ヤコブ・モレノが始めた演劇的技法を用いた集団精神療法のことで、日本語では心理劇と訳されます。サイコドラマは患者さんが語る過去の辛かった場面や現在の対人関係を即興劇で再現していきます。中心となる患者さんのことを主役と呼び、主役以外の参加者にも色々な役をやってもらい、全員でその場面を作り上げていきます。ドラマを通して、新たな自分の気持ちに気付いたり、苦労を分かち合ってもらえたりといった体験をします。

サイコドラマは発達障害の治療に有効だと考えられています。大人の発達障害に関する症状の成り立ちとして発達特性があり、対人場面での困難さに対して怒りや劣等感を持ちますが、周りに適応をしようとして怒りや劣等感に蓋をします。その場では適応的な行動を取る事が出来ますが、感情に“蓋をする”という行動が対人場面での困難さをさらに引き起こし、怒りや劣等感を増幅させ、最終的に抑うつ症状が出てきます。これを「負のスパイラル理論」と呼びます。サイコドラマでは参加者全員の力を借りながら感情を安全に表現する事や過去の傷ついた体験を共有し、他者から勇気づけられる経験をします。その経験によって負のスパイラルから抜け出し、他者への怒りや恨み、不信感、孤独感などを緩和する事に繋がっていきます。


当院では心劇会の名の通り、サイコドラマでの治療に力を入れています。当院ではデイケア・外来ともに複数のサイコドラマのグループがあり、多くの患者さんにサイコドラマによるグループ治療を行っております。

 

第2章 障害学生支援室における自閉スペクトラム症のある大学生への支援

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。
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全大学、短期大学、専門学生約32万名を対象とした発達障害の疫学調査(日本学生支援機構,2017)によると、全体の0.16%に当たる人が「発達障害」と診断を受けています。正式な診断はされていないものの、配慮を行っている学生は全体の0.26%であり、全体を合わせて約8400名います。発達障害の診断書がある学生、及びその特性と関連性がある精神障害の学生を合わせると43.2%となり、年々増加しています。

某国立大学ではこのような困難を抱えている学生に向け、「コミュニケーション・サポートルーム」を開設し、職員が支援するにあたって過度の負担がかからないことを前提に、安心して学生生活を送れるよう支援をしています。サポートルームを利用経緯として、医療機関等からの紹介が多く、次いで本人自身が希望して来所されます。困り事の聴取、簡易心理検査等を実施した後、今後について話し合います。意思決定が苦手だったり、不安感が強く自己主張できない人が多く、それを周りの教職員に伝えることは難しいため、支援員が配慮を希望するか否か、そのメリットとデメリットを説明し、支援員から教職員に対してアプローチをかけます。発達特性を持つ学生の卒業率は全体の3分の2と低く、また就職率は59%と半数は就職難に陥っています。そのような学生を減らすために、サポートルームでは①自分の特性を理解し、必要なスキルを身につけること、②自分の適性に合った環境を選択、調整すること、③支援を周りの人に求めることが出来ることに焦点を当て、学生の利益となるような支援を行っています。


当院の就労支援デイケアにおいても、上記と同様に様々なプログラムを体験することで自分についてよく知り、就活、就職後もよりよく働いていくためのスキルを身に着けていきます。

第1章 自閉スペクトラム症のある人への精神療法的アプローチの可能性

以下の文章は、倉光 修 監修・渡辺慶一郎 編著『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』(金子書房,2021年)をスタッフが研修のために要約したものです。当院院長が第3章を担当している書籍です。出版社の許可を得てホームページ上に掲載しています。
また、発達障害で困っている皆さんの参考になるよう、当院で行っていることなどを追記しています。ぜひ、ご一読ください。

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とある自閉スペクトラム症を持った5歳の子供の記録で、「周囲の人々に全く興味を示さなかった」とされています。他児が近づいてきても「スッと離れる」「人が尋ねてきても無関心」で、一片の注意もむけなかったそうです。一方で、彼は記憶力に優れ「百科事典のものすごい数の絵を知って」いました。また、「丸い物体をクルクル回すこと」に熱中し、それを妨害されると「癇癪を起こし」たそうです。「積み木をいつも同じ面を上にしていなければ気が済まない」「ボタンを同じ順序でかけたい」など、その子なりの「こだわり」もあったといいます。

自閉スペクトラム症のある子供たちは、「まなざしが合わない」「常同行動が見られる」「相手が聞いていなくても平気で話し続ける」「他の子供と一緒に行動することが出来ない」等の特徴を示すことがあるとされています。しかし、知能は「独創的で創意に満ちている」「自閉症児の持っている興味は、限定され孤立しているが、すばらしく発達していく」ともあり、自分なりのやり方で難しい計算問題を解いたり、詳細な絵画を描いたりする子供もいるのです。

そういった大きな「能力」として特徴を持つ一方で、歳を重ね社会に出ると、それらの能力を発揮してうまく立ち回るといったことが出来なかったり、周囲との協調的姿勢が取れず、企業などで勤務することで困難を抱える方がいらっしゃいます。
実際、知的に高い学生(教員)の中にも自閉症の特性があって苦しんでいる方がかなりおられます。なかには懸命に努力を重ねて仕事を熟し、働かれている方もいるでしょう。一方で、就職できなかったり、転職を繰り返したり、雇い止めになったりして自宅に引きこもりがちの人も居ます。医療では認知や行動がわずかでも改善され、周囲の人々とともに苦しみだけでなく楽しさやいたわり、生きる喜びを感じながら暮らしていくことに貢献したいと考えています。


当院では職場で不適応となり、抑うつ状態で休職された方の復職支援(リワーク)を行っています。単にうつの症状の改善を目指すだけではなく、自分の発達特性、社会スキルを振り返り、職場や家庭でより自分らしく、生きやすく生活できるようになることを目指しています。

また、発達障害を抱えながらも就労を目指す方を支援するデイケアも運営しています。就職活動が上手くいかない、他者との関わりが上手くいかず社会に出ることが怖い、そうした同じ悩みを持つ仲間たちと、社会生活への一歩を踏み出すためのサポートを行っています。

 

 

発達障害の方と「自分の取扱説明書」

皆さんは家電品やゲームなど取扱説明書は使用前に読まれますか?私は読まない派です。でも不具合が起こったら引き出しの中から引っ張り出します。発達障害の方は特に「自分の取扱説明書」を作ることが重要です。デイケアでも多くの方が取扱説明書を作成しています。誰かに作ってもらうのではなく「自分で作る」のが大事です。内容は「自分の特性」「不調になったときの対処法」「職場や周囲の方に配慮してもらいたいこと」などを書き出します。一人ですべて仕上げるのではなくデイケアの参加者やスタッフの協力を得て作ります。
1度作って終わりではなく困ったことが起きたりするたびに更新します。職場や周囲の方に障害や特性を理解してもらえるとより幸せに生きていけると思いませんか。自ら取扱説明書を作成することで自己理解が深まり、端的に説明できるようになり就職面接などにも役に立つでしょう。 (K)



※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せています。

発達障害と自分のチェックシート

気を付けているのにミスをして注意を受けたり怒られてしまうことはありませんか?注意を受けることが続くと、必要な質問も「さらに同僚に迷惑をかける行為」と思い、わからないことを聞けなくなり、ミスをしてさらに怒られ、自分はダメな奴だと思ってしまう…という悪循環に陥ってしまうことがあります。
デイケアで似たような体験を抱える方と話すことで、「わからないときに自己判断で作業を続けていた」「寝不足だと気が散りやすい」など自分がどういうときにミスをしやすいかを分析したり、すでに行っている対処方法に気が付くことができます。分析した内容やすでに行っている対処方法をもとに、オリジナルのチェックシートを作ってみませんか?「わからない時に質問したか」「今日の睡眠時間」など自分の行動を振り返ることで、自分のできているところも見つけやすくなりますし、ミスが起きやすい状況に早めに気が付くことができます。 (A)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せています。

発達障害と毎日の生活

日々患者様と接する中で感じることは「生活力が低い」という点です。もちろん全く関係なく生活されている方も多いのですが毎日の生活に無頓着な方が目につきます。
学生の時には進級、進学のための勉強が必要となりますが、その間で学ぶべき家庭科、技術科、保健体育科、総合学習などの自分の生活を守り豊かにするための勉強は必要性に気付かずに深めないままの学びで終わって来たのではないでしょうか?日々苦労を重ねているために毎日の生活に注目する余裕がなかったのかもしれません。
大学生や社会人となり自分が主体となる生活になって「社会になじめない」「気分が落ち込んで・・・」などという状況で受診に繋がる人が多いのですが、その生活を見てみると「しっかりと休息をとる十分な睡眠がとれていない」「好き嫌い、食わず嫌いが激しい」「生活習慣病の危険性が高い」など、そもそもの生活が安定していない方が多く見られます。感覚の過敏や易疲労感、時間管理の難しさなど発達障害特有の理由もあるとは思いますが、生活の不安定さを修正できると心身の調子を崩しにくくなります。薬物療法も必要ですが毎日をしっかりと生きる練習も大切ですね。 (O)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害とプレイバックシアター

プレイバックシアターは、観客や参加者が自分の体験したできごとを語り、それをその場ですぐに即興劇として演じる(プレイバックする)独創的な即興演劇です。元来は治療を目指したものではありませんが、治療的な効果がしばしば見込まれます。プレイバックシアター体験者からの感想として、
・相手の立場に立って物事を考え、想像する力が高まった。
・自分の深い思いや、悩んでいることを他の人に共感してもらえた。
・自分とは異なる立場から役を演じてもらえることで、他者への理解が深まった。
などが挙げられています。
 また、テラー(自分のことを語る役)をすることは、カタルシスのような心理的効果があるとともに、場を共有する他者との連帯感を経験する機会になるとも言われています。これらのことから他者との関係構築が不得手な発達障害者の方にとってプレイバックシアターを経験することは有意義であると考えられます。 (M)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害とSST

SSTとは、“Social Skills Training”の略で、「社会生活技能訓練」や「生活技能訓練」などと呼ばれています。SSTは認知行動療法の1つに位置づけられる比較的に新しい支援方法で、対人関係を中心とする社会生活技能を高める方法が現在も開発されています。
自閉症スペクトラム障害、ADHDなどを含む発達障害は、それぞれの本質的障害は異なるものの共通して社会性の問題を呈することが多いといわれます。職場や学校、家庭など様々な場面で苦労をしてきた方が多数おられます。SSTでは、それぞれの苦労や苦痛、悩み、希望に沿いながら再就労や復学を見据えた、より適切な言動、自分の感情や考えの表現方法などのスキルの獲得を目指していきます。 (M)



※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害の人へのカウンセリング

発達障害の人は、「自分らしく生きようとすると社会で肯定されず、社会的に認められようとすると自分らしさが失われる」というジレンマを抱えていることが多いようです。このような悩みに対応するのにカウンセリングが役立つこともあります。
発達障害の人のカウンセリングでは、自分が理解され、自分を理解する場になることが大切です。人は誰でもできることとできないことがあり「できることはできるし、できないことはできない。それでよい」と感じられたらいいなと思います。一般的なカウンセリングでは気もちを聞いていきます。でも、発達障害の人は「相手はどう感じると思うか」を察するのは苦手ですし、自分の気もちもとらえにくいので「あなたにとってその行動はプラスかどうか」という視点で話を進めます。いずれにしても「自分の人生の主人公は自分」という感覚を持っていただけるといいなと考えています。 (I)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害は変わり者?

発達障害と聞くと、「忘れ物やミスが多い」「空気を読むことが苦手」のようなマイナスなことが注目されがちですが、発達障害の方が得意としていることも色々あります。例えば、好きなことや得意なことへの集中力の高さや、相手に率直で正直に話すことができるのも発達障害の特性と言えます。しかし、周りから「変わっている」と言われ続けたり、「自分は周りと違う」と思ったりする経験が積み重なることで、発達障害である自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。
デイケアは、同じ発達障害で悩んでいる方が参加されいています。そのため、これまでは職場の上司や友人から「変わり者」と思われていたエピソードが、デイケア参加者にとっては「あるある」になります。周りの人と発達障害の悩みを共感できたという経験は、これまで変わり者であった自分を許せることに繋がります。発達障害に関する悩みや体験談を共有してみませんか? (I)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

大人になって気づく違和感

社会人になって「仕事をどの順番で片づけたら良いのか分からなくなった」「同僚と比べて自分は劣っているような気がする」などと他の人となんだかズレがあると感じている方がいるかもしれません。また、自分自身ではなく、職場の部下や同僚に当てはまる人がいると思うことはありませんか。
ズレているからと言って全ての人が「発達障害」というわけではありませんし、他者と異なる感覚は良い意味で個性ですが、大きくズレ過ぎていると生きていく上でストレスになることもあります。発達障害という点では例えば自閉症スペクトラム障害は考え方のこだわり、ADHDは考えがまとまらないといった事などが想定されます。
復職デイケアでは、他者とのズレで悩んでいる方は新しい考え方を取り入れたり、行動の幅を広げたりする事で自分自身や他者から見てちょうど良いズレを探していきます。 (A)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。


発達障害により職場で悩みを抱えている方へ

「仕事を先延ばしにしてしまう」、「コミュニケーションの取り方が分からず、上司に質問出来ない」、「同僚と関係性を築くことができない」等、発達障害の特徴により仕事中に困ったことはありませんか?
当院の復職デイケアでは、発達障害傾向で職場の困り事を抱えた方に向けてSST(ソーシャルスキルズ・トレーニング)とサイコドラマを組み合わせたプログラムを実施しております。SSTを使ってコミュニケーションスキルの向上等を目指した練習を実施したり(例:「仕事を忘れない工夫」、「困った時に上司にすぐに相談する」、「同僚と雑談をする」等)、サイコドラマの技法を使って、過去の出来事や気持ちを振り返り、復職後の自信に繋げるような支援を実施しております。参加者同士で悩みを共有しながら、自分自身の特徴を発見し、困り事の解決を目指してみませんか? (K)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。


発達障害を抱えながら参加するリワークプログラムについて

リワークデイケアでは業務で求められるスキルの回復や、職場やプライベートで生じる負の感情とどのように折り合いをつけていくか等が主な課題となりますが、発達障害により不注意さや衝動的な行動が生じる場合は、職場から求められる作業レベルを見定めておくことが重要です。
当院が行っている主要プログラムにパソコングループワーク(プログラム内で利用者同士が上司・部下役等役割を担う)があります。所定作業時間の適切なやり繰り、指示場面での円滑なコミュニケーション、業務の質等が複合的に求められると、利用者が抱える不注意さや衝動的な行動も顕著に表れます。不得手な部分の自己理解と次回のプログラムに向けた練習を繰り返すことで、現実的に目指せる利用者個々の目標が設定されるのです。 (F)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害を持つ方のリワーク活用法

自閉スペクトラム症などの患者さんと接する際に、対人場面での苦手意識の強さや、それによる自己肯定感の低さを感じることが多いです。話しかけるタイミングがわからず報連相が不足となり職場で叱責されてしまったり、周りに助けを求められず業務を一人で背負ってしまったり・・・。迅速な報連相や高いコミュニケーション能力等を求められる現在の社会において、患者さんの苦労は甚大なものだと思います。
当院デイケアでは、集団の中で仲間と共に過ごすことで様々なコミュニケーションのトレーニングを行って頂いております。ある患者さんは、雑談場面に苦手さを感じており、デイケアでの集団の場に馴染むことに苦慮されていました。しかし、カードゲーム等を介してメンバーとコミュニケーションを取ることで少しずつ輪に入り、今ではゲームを介さなくても雑談の輪に進んで入ることができるようになりました。このように、デイケアでは患者さんのペースに合わせて様々な対人交流を試すことができます。それらを通して、患者さんのより良い生活、復職のお手伝いをさせて頂いています。 (I)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。


発達障害 働き方改革

大人の発達障害では社会人になってから「要領が悪い」「ミスが多い」「期限が守れない」ということで人との「違い」に気付く方がいらっしゃいます。本人は「違い」を埋めようと努力しますが結果が伴わず、「努力不足」と評価されしまうこともあります。
しかし、発達障害は努力不足で生じているものではなく、脳の働きの偏りが関係しています。不注意・多動衝動傾向を特徴とするADHDでは脳の選択的機能や選択的制御がうまくいかないため、物事の重要度を見極め、段取りを整えることが難しいのです。
働き方改革以後、「業務効率化」「生産性の向上」が求められる現代はADHDを抱える人にとって、より“働きにくさ”を感じやすい時代かもしれません。そうした“働きにくさ”を和らげるためには、周囲の人も発達障害の特徴を理解し、「違い」を補っていくことが必要です。当院ではご本人はもちろんのこと、ご家族や職場の方も含めた支援を行っています。 (N)



※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

デイケアで自分を見つめ直す

学生時代は特に何もなかったが、社会人になってから困る事が増えた。でも思い返すと昔から思い当たるような・・

締切に間に合わない、相談出来ない、何故か怒られてばかり・・
何も楽しめない、イライラする、仕事に行こうとすると具合が悪くなる・・
自分は発達障害には当てはまらないと思うけど・・

デイケアに参加された方の声です。
発達障害と聞くと、欠陥のレッテルを貼られたように感じる方もいるかもしれません。
能力のばらつきや、不注意などは多かれ少なかれ誰にもあると思いませんか?
一部の突出した能力で活躍している人も沢山います。

困った状況になるのは、ストレスやトラウマが引き金となることも多いです。
デイケアでは、それらを癒し治療しながら自分らしい生き方の方法を探すことが出来ます。
時には勇気をもって休み、じっくり自分自身を見つめ直してみませんか? (G)

 

※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

作業を通して自分を知ろう~作業療法の紹介

「自分って発達障害なのかな」
職場や学校、さまざまな場面でそう悩む人は少なくありません。懸命にがんばっているはずなのに、なぜか怒られてしまう。何がいけないのか分からない。そういった悩みを抱えたままではストレスに潰されてしまうかもしれません。
当院のデイケアでは作業を通して自身のクセを知る作業療法というプログラムがあります。1人で行うものもあれば、複数人で一緒に課題をこなすものもあります。職場を模した環境や他者とコミュニケーションをとりながら行う作業こそ、自身のクセが出やすいものです。実際に参加して「分からないことを確認できず、そのままにしてしまう」「声をかけるタイミングが掴めない」など自身のクセや困りごとを明確にしてきた方々がいます。作業療法で問題点が明確になったら、あとは練習してみましょう。
苦手なものは他で補って、得意なものは伸ばして。発達障害で悩む方に、当院スタッフはさまざまな視点でサポートいたします。 (K)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害と自分の気持ち

最近、嬉しかったり悲しかったり、はたまた苛々してしまったりしたことはありませんか?
発達障害を持つ患者さんに「あの時、どんな気持ちだった?」「今、どんな気持ち?」と尋ねると、「別に…。」「特に、気持ちは…。」という回答がよく聞かれます。発達障害を持つ方にとって、目に見えない『気持ち』という抽象的なものに気づき、言葉で表現することは、意識していないと難しい場合が少なからずあるようです。
自分の気持ちに注目でき、さらにそれを表現することは、実は自分だけでなく相手のことも大事にすることにつながっていくのです。
当院のデイケアでは、日常的な他の患者さんとの交流を通して自分の気持ちを振り返り、適切な表現を練習していきます。自分の嬉しさは周りと共有し、悲しい出来事は慰めてもらい、苛々したことはグチってすっきりするようにしてみましょう! (M)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。

発達障害のある方向けのプログラム~映画トレーニングの紹介

「人の気持ちがわからない」と感じるのは、発達障害の有無を問わず珍しいことではありません。でも、実際にほかの人がどう思っていたのかを確認する機会はなかなかありません。
映画をみるという共通体験を通じて実際にみんなが思っていること確認できるのが、「映画トレーニング」です。
ほかの人は登場人物の気持ちをどう捉えていたのか、それを聞いてからもう一度その場面を見てみたら新たな気づきがあるかもしれません。映画を見ることで思い出した体験や、意見を聞いて感じたことをグループで話してみたら、さらに新たな発見があり、自分の世界が広がることでしょう。
一人で映画を見る楽しみもありますが、グループで見て話し合う楽しみもぜひ体験してみませんか。 (Y)


※発達障害についてスタッフが書いた文章を載せていきます。


発達障害の方への就労支援って?

ワークサポートデイケアではどのように就労支援を進めていくのでしょうか?Aさんのケースを例に見てみましょう。
就職面接で不採用が続き、知人から「発達障害があるのでは?」と言われてデイケアにやってきたAさん。各種の心理検査や作業を通し、「予定が変わると混乱しやすい」など、苦手な部分がはっきりし、自閉スペクトラム症(ASD)という発達障害の一種があることが分かりました。同時に「規則的な作業を繰り返すのが得意」など、Aさん自身も気づいていなかった長所が見つかりました。デイケア参加を通じて就職活動への自信がついたAさんは、ハローワークのみどりの窓口(障害者求人の専用窓口)に登録。必要な場合は診断名や得意なこと・苦手なことをクリニックとハローワークとで共有するので、個性にあった求人を紹介してもらえます。面接にも希望があればデイケアのスタッフが同席し、本人が説明するのが難しい部分をサポートします。晴れて内定を得たAさんは、親しいメンバーに見送られてデイケアを卒業されました。 (A)

 

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発達障害ワークサポートデイケアの紹介をします

当院を受診する方は、幼少期、学齢期から苦労が始まり、大学や就労をしてから不適応を起こして体調を崩し来院する方が多くいらっしゃいます。発達障害の特性による苦労だけでなく、対人関係の苦労が積み重なり、極端な対人不安、自己肯定感が低下した状態の方が訪れます。生活や就労場面での苦労を改善するために発達障害ワークサポートデイケアでは、各種のプログラムを提供しています。治療的・対人トレーニングでは、SST・集団認知行動療法・映画トレーニング・サイコドラマを行います。就労に向けた実践トレーニングでは、動画要約・就労支援・ペアワーク・ユニットワークを行っています。また、運動系セッションやサークル活動では、演劇部やヨガ・卓球が活発に行われています。同じ苦労をしてきた方との交流は互いを支え合う、良き仲間作りの体験になっています。(O)

 

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ADHDの方の部屋の片づけ

ADHDの方の「部屋の掃除を手伝ってほしい」という依頼のもと、訪問看護を行った患者さんの症例紹介です。

訪問初回では、床一面にものが散乱し足の踏み場もない状態でした。
まず、<いるもの>と<いらないもの><どうしていいか迷うもの>の3つに物を分けました。<いらないもの>は、捨てるかリサイクルしました。
<迷うもの>は、段ボールに入れ、1カ月様子を見て、本当に必要かを見極めることにしました。
次に、<いるもの>の仲間分け(文房具、化粧品、思い出の品など)をして、物の置き場所を決めて、使い終わった後は、すぐに、その場所にしまうというやり方を続けてもらいました。

その方法で物が片付き、床が見えるようになり、本人の希望であった、友達を家に招くことができ、喜ばれました。
その後はヘルパーに来てもらい、現状維持するために手伝ってもらっています。 (H)



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発達障害・自閉スペクトラム症への心理療法

発達障害の一つに,自閉スペクトラム症(ASD)があります。人によって特性は異なりますが,気持ちの読み取りが苦手,環境変化や予定変更が苦手,大きな声や騒がしい場所が苦手,こだわりや興味の偏り,言葉選びが苦手,気持ちの切り替えが苦手などの傾向があげられます。
こういった特性ゆえに,集団場面への適応が困難になったり,社会生活で失敗体験を繰り返したりする可能性があります。また,これらをきっかけとした二次的な症状として,不安症や引きこもり,うつ病,パニック障害,対人恐怖症などを併発する場合も多いです。ASDの40%以上は不安症を抱えているという報告もあります。
当院では,こういったASD特性や二次的症状の改善を目的として,サイコドラマや認知行動療法などの治療を行っています。また,SSTで適切なコミュニケーション方法を習得することで,周囲からのサポートが得やすくなり,仕事や家庭でも過ごしやすくなることが期待されます。 (O)


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大人のADHDへの認知行動療法

ADHDには,「先延ばし」「整理整頓の苦手さ」「忘れ物」「集中の持続困難」「不注意ミス」などの傾向がみられます。
例えば,Aさんは毎日寝る前に「寝て起きたらまた仕事だ」と考え、ついついゲームやSNSを見て夜更かしをします。結果,朝がしんどく,疲れて仕事にも集中できず,不注意ミスも増えてしまいます。しかし,Aさんは夜更かしを止めることができません。なぜ,この行動を続けるのでしょうか。原因だけでなく結果にも目を向けてみましょう。この行動の結果は彼にとって必ずしもデメリットだけではないのです。「仕事を忘れられる」「楽しい時間を過ごせる」など,短期的にメリットがあるので維持されている可能性があります。特にADHD特性がある場合,目先の利益に注意が行きやすいと言われています。
嫌な事を避けて短期的にメリットのある行動を繰り返す,これを「回避行動」といいます。こういった行動課題について,当院では行動療法を用いた治療も行っています。(O)

 

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発達障害・生きづらさから生きやすさへの変換

『気が散って集中できない』、『同時並行で作業をすることが苦手』、『空気を読んで話すことができない』などといった苦労を抱えていませんか。社会人になってから目立つようになったけれど、「小さい頃からそうだったよな」と諦めていませんか。注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害・発達障害傾向を抱える方への支援を当院は外来診療やお薬での治療、集団を用いたプログラムで行っております。練習や工夫、仲間同士の関わりにより、上記のような人も『発想豊かなアイディアマン』、『1つずつなら集中できる職人』、『本音で語れる議論好き』となって、自分の短所で生きづらさと感じていたところも、自分の長所へ変換され生きやすさへ繋がっていきます。諦めずにまず相談してみて下さい。もっとあなたらしく生きられるようになるのではないでしょうか。 (O)

 

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発達障害に伴う考え方のクセ

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)等、発達障害の特性を持つ方は、コミュニケーションの不得手、不注意ミス等で、家庭、学校、職場で理解されず、叱責や否定的対応を受ける人も少なくありません。このような失敗経験の積み重ねから、自己肯定感や自己効力感(物事に対する自信)が低下し、ネガティブ思考に陥ります。
 当院では認知行動療法を行っています。人間はあらゆる状況に遭遇した時、自然に考えが浮かびます。同じ状況でも考え方は人それぞれです。この考え方のクセを認知(自動思考)と呼びます。対人場面や仕事場面で「どうせ自分なんて受け入れてもらえないだろう」、「またミスしてしまうかも…」等といった、自分のネガティブな考え方のクセを見直して、物事の捉え方の幅を広げることで、不安や憂うつ等の気分を変えていくことが認知行動療法の一つの目的となります。(N)


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発達特性の理解と生きやすさ

幼少期から現在まで、学校や職場、家庭等で困難を感じたことはありませんか?例えば、授業や仕事にずっと集中していることが出来なかったり、物事を順序だてて取り組むことが難しかったり、人と関わるのが苦手だったり…。こうした困難は「発達障害」の症状の可能性があります。
発達障害は生まれ持った特性での困難に加えて、対人場面での失敗体験が積み重なり、それを回避するため、さらに生きづらい考え方になってしまうという場合も多くあります。
当院では、外来治療(薬物療法)や、デイケアによる生きづらい考え方を変える治療(精神療法)、病気を理解するため(疾病理解)のレクチャー等を行っています。また、自分自身の性格や傾向を知るための心理検査も実施しています。自分の傾向や病気について知り、生きやすさを取り戻すため今一度自分自身のことを振り返る時間を作ってみてはいかがですか。(U)


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大人の発達障害

皆さんは、「発達障害」という言葉を聞くと、「子どもの病気」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?

「なんとなく生きづらい」、「職場の人とうまくコミュニケーションが取れない」、「外に出るのがこわい」というような大人になってからの困り事、または若い頃から続いている困り事は、さまざまな要因によって起きていると考えられます。そして、その要因の一つとして「発達障害」が挙げられる場合があります。

近年、発達障害は子どもに限らず、大人も抱えることのある病気として注目されており、当院では、上述のような困り事を抱える人がかかることのできる「大人の発達障害」専門の外来診察を行っています。
光トポグラフィー検査や心理検査などいくつかの検査を受けていただき、通院を続けていただく中で専門の医師による診断を行っています。(O)

 

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発達障害の特徴と困難③

ADHD(注意欠如/多動症)は発達障害の1つです。
主な3つの特徴としては、以下のものがあります。
①集中力を持続させることが難しい
②いつも体や心が落ち着かない
③待つことが苦手で衝動的な行動をとってしまう

 部屋の掃除や家事では、片付けたいと思っているのに散らかしてしまう、やらなければいけない事を忘れてしまうといった特徴があります。また、仕事では「これをするには、この程度時間がかかる」と行動を時間に換算できず、いつも仕事がギリギリになってしまい、上司に怒られるなどの経験をしている方が多いです。
 こういった度重なる失敗から、自己評価が下がり精神面では抑うつ気分、行動面では強い反抗や暴力などが現れたり、引きこもってしまうケースもあります。
 現在は有効な治療薬があり、服薬で症状が改善する方も多数いらっしゃいます。コミュニケーションの練習なども有用です。(N)

 

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発達障害の特徴と困難②

自閉スペクトラム症(ASD)とは、発達障害の1つです。
ASDは、表情や身振り手振りを使うなど、「非言語のコミュニケーション」を苦手としている方が多いです。友人や職場関係においては、うまく相手の気持ちを汲み取ることが出来ず、相手を知らず知らずのうちに、傷つけたり怒らせてしまうこともあるかもしれません。また、いつもと違ったシチュエーションには、柔軟に対応できずパニックに陥ってしまう場合もあります。
これらの特徴は、傾向の強い方もいれば弱い方もおり、人により異なります。特徴が弱ければ、本人が自覚することはもちろん、周囲も「個性」だと捉えて気づかないこともあります。強いと、そのことが原因で失敗を繰り返したり、叱責を受けることが多くなり、自信の喪失や不安へとつながって、二次障害であるうつ病などを併発させる確率をあげてしまいます。 (S)


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発達障害の特徴と困難①

発達障害とは、生まれつきの脳機能の偏りと環境要因によって社会で生きづらさが生じてしまう障害であり、成人では主に、①注意欠陥・多動症(ADHD)、②自閉スペクトラム症(ASD)、③1と2の合併の3つのパターンがあります。
 特性が見た目ではわかりづらく、周囲の人には気づかれにくい場合があり、そのせいで、当たり前にできそうなことができずに、叱責や否定的な評価をされてしまうことが多いのが現状です。自身が置かれている環境や対人関係によるストレスから、心理的・精神的な不調を抱えてしまいます。これらが発達障害の「二次障害」と呼ばれています。
 二次障害の症状としては、不安や気分の落ち込みなどの精神的な面から、不眠、食欲不振などの身体症状まで現れます。こう言った症状を抱え、精神科や心療内科などを受診すると実は発達障害が根底の原因にあるということもあります。 (H)


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生活の中に発達障害の治療を取り入れるため、大切なこと

“発達障害の治療”と聞いて、どのようなイメージが湧くでしょうか。イメージができない方も少なくないと思います。一方、不安・心配なことで治療方法や期間、完治するのかどうかなどが浮かびやすいかもしれません。ここで見落としがちなのは、生活費や治療費などについてです。しっかりとした治療をする場合、お仕事を休まれたり就職活動を延期したりすることも多いです。その間、どう生活するのかが不透明だと治療にも専念できず、生活の基盤がないことで、気分が落ち込んだり不安や苛立ちが募り、対人関係にも影響しかねません。
発達障害の治療をする上で、経済的なサポートをする制度はたくさんあります。治療費の支払い額を抑える制度(自立支援医療)や休職された方の生活費をサポートする制度(傷病手当)など、症状や状態によって他にも様々な制度が用意されています。
自分の生活を振り返り、よりよいものにしながら発達障害の治療をしてみませんか。 (H)

 

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発達障害の方が持つ力

最近、メディアやSNSで発達障害が取り上げられる事が多くなりました。発達障害の特性に悩む当事者さんの苦労が、以前よりも理解されつつあるように思います。
一方で、発達障害と一口に言っても、その特性や困り事は多種多様です。言い換えれば、得意分野も様々だと感じています。
例えばADHDの方であれば、多動性に悩む一方で頭の回転が早いアイデアマンもいれば、不注意傾向がある一方で1つの事に集中して大きな能力を発揮する方もおり、「障害」というよりもむしろ大きな「能力」を発揮する方が多くいらっしゃいます。
不得意な事に対しても、自分なりに対策を練る努力をする事で、自己理解を伸ばし社会生活を送りやすくなる方もいます。
発達障害に悩む方には、持っている能力を適切に発揮出来る練習をしたり、出来るだけ生き辛さが和らぐような下準備が出来ると、社会での生きやすさも変わってくるのではないでしょうか。(N)

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