復職(リワーク)デイケア

さっぽろ駅前クリニックは日本うつ病リワーク協会の認定施設です。

リワークとは

リワークとは return to work から作られた造語です。主に精神的な不調により休職した人がスムーズに復職できるようにするためのプログラムのことを指します。実施場所や目的などによって大きく3つのリワークがあります。

①医療リワーク: 医療機関で症状の改善と安定、再休職予防を目指した治療として行われます。主に医療保険の範囲内で実施します。
②職リハリワーク 地域障害者職業センターで行われます。職場への適応に向けた支援を行っています。無料で受けることができますが、症状の改善などは目標にしていません。
③職場リワーク 企業内で行われる復職支援のためのプログラムです。内容は、企業によって異なります。

休職者の中には自覚症状が改善するとすぐ復帰される方がいますが、残念ながら半年以内に半分くらいの方が再発、再休職されています。その理由は、お薬の効果や職場から離れた休養により症状は良くなったものの業務を遂行出来るまでは回復していないからです。また、休職に至る働き方や対人関係、考え方の癖を修正せずに復職し、職場環境で前と同じ辛くなるパターンを取ってしまうからです。これらは自宅での療養中心の治療では十分に取組むのが難しいため、医療機関でのリワークプログラムでしっかり治療をすることが非常に重要なのです。

医療リワークの治療と効果

症状が良くなると仕事への復帰を考えますが、回復には段階があります。

  • ① 休養をとることで症状が良くなる状態
  • ② 職場復帰をして仕事ができる状態
  • ③ 仕事を続けても病状が悪化しない状態

これらの間にはそれぞれギャップがあり、しっかりと症状を改善し、再休職のない復職を目指すのがリワークプログラムです。

【リワークプログラムの効果】
現在リワークプログラムを実施している日本うつ病リワーク協会の認定施設は全国で約220施設あり、それぞれの地域性や特徴を生かしたプログラムを各施設が実施しています。これらの医療機関で実施されたプログラムを利用された方と利用していない方を比較した調査では、プログラムを利用した方の就労継続率は約7割であるのに対し、プログラムを利用しない方の就労継続率は2割以下でした。(出典:産業精神保健;20(4)、335-349,2012.)こうした事から、医療機関で行うリワークプログラムの有効性が明らかになっています。

治療方針

同じような環境で働いていても、体調を崩す人もいれば、そうでない人もいます。それは、個々人で心身の体力や考え方や行動の癖が異なるからです。仕事や対人関係などが円滑な時には、プラスに働く考え方や行動の癖もありますが、調子が悪い時には、一度自身の状態について見直し、自分側の要因と環境側の要因を特定して、対策をきちんと立てることが必要です。また、十分に体調や体力が整っていることが基本となります。

【さっぽろ駅前クリニックの治療の考え方】

①しっかり治療、しっかり休養し、症状改善(完全寛解)
回復が不十分なまま復帰すると再発の可能性が高まります。復職には、生活リズムが整い、週5日間(9:00~17:35)デイケアに安定して参加できる程度の症状と体力の回復が必要です。
②不調の原因を見つけ、自分の考え方や行動がどう絡んでいるのか把握
「なぜ病気になったのか」ということに対する気持ちの整理を行います。不調を繰り返さないためにも自分を苦しめる考え方や行動の癖を把握します。
③自分が辛くならない考え方やふるまいの練習
考え方や行動の癖が理解できたら、「別の考え」、「いつもとは違う行動」を取れるように練習しましょう。デイケアという集団の場で練習して、職場での対策・予防ができるようにしましょう。
 

職場で不調に至る要因の多くは人間関係に伴う不安が原因と言われています。
自分がどのような対人関係を築きやすいのかを把握(自己理解)し、他の人がどのように考え行動するかについて理解を進め(他者理解)、ほんの少し考え方や行動を変えること(新しい挑戦)が不安の解消に効果があるようです。

当院のデイケアは「人はあらゆる集団で同じパターンを繰り返す」という集団心理学の考えを意識した治療構造の構築を目指したものが基本となっています。職場場面を再現したプログラムを行い、復帰のために技術面の向上だけではなく、プログラム参加中に感じたことを意識し、他の参加者やスタッフの力を借りて気付きを得て、病状にマイナスになる行動や考え方を修正していきましょう。

リワークデイケア

さっぽろ駅前クリニックの復職デイケア(リワークデイケア)はステップ制です

体調や治療の進み具合を医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、作業療法士、心理士の多職種で把握します。STEPごとに担当スタッフが付きますので相談しながら治療を進めていくことが可能です。

(外来)
診察とアセスメント検査で状態把握をします。
リワークデイケアでの治療方針となりましたら、デイケアの定期参加開始です。
プレリワーク(リワークへの導入)
毎日安全に通いデイケアで過ごせるレベルまで心身の回復傾向にあるか確認します。
また、デイケアで仲間体験を開始します。
安定して通えることが確認できれば、リワークプログラムを正式にスタートします。
リワーク STEP1
集団認知行動療法に参加し、自己理解を深め、内省を開始します。
サイコドラマを体験し、過去の自分を癒します。
リワーク STEP2(A・B・C)
パソコングループワークなどのプログラムを用い、休職要因の内省(STEP2A)とともに、これからに向けて辛くならないための考えの幅(STEP2B)、行動の幅(STEP2C)を広げます。
職場復帰に向けての調整も徐々に始めます。
リワーク STEP3
リワークプログラム卒業に向けて、新しい認知と行動の定着を進めます。職場と調整を行い復職の準備をします。デイケアの様子や心理検査などの結果を踏まえて復職の準備性が整ったことを確認します。
(外来)
リハビリ出勤開始後、職場復帰後も診察、デイケア、グループワークを利用して、再発予防をしながら元気に過ごしていきましょう。
 

プログラムの紹介

サイコドラマ
即興劇を使った集団心理学的技法です。
過去の体験が現在の生活や仕事、対人関係で足を引っ張ってしまい、心の負担になっている時に役立ちます。
ご自身に起こった出来事を即興劇で振り返り、気持ちの整理をしたり、新たな気付きを得ることが出来ます。
集団認知行動療法
人はそれぞれ物事の考え方が異なりますが、これを「認知」と呼びます。
同じ出来事でも「受け流せる人」「ネガティブに捉える人」等、様々です。時にそのような考え方に縛られ、行動がとれず、自分を苦しめる場合があります。
自分の認知や行動のクセを把握し、他の参加者と意見交換することで自身の問題や辛い感情を和らげる術を学びます。
SST
SSTとは「Social Skills Training」の略です。
ソーシャルスキルとは「自分の思いを形にして、期待する反応を相手から引き出す」能力を指します。
復職に向けた様々な場面を想定し、コミュニケーションの実践的練習を行います。
パソコングループワーク
職場を想定した場面で様々な役割を通じて課題に取り組んでいただきます。
情報収集、資料作成、グループでの議論や調整、プレゼン、相互評価が行われます。
作業を通じて生じた「達成感」「不安」「焦り」「緊張」「怒り」等の感情、自分の考え方や行動の傾向、それらが自身の体調不良にどう影響を及ぼしたかを捉え、対処スキルを獲得します。

リワークデイケアの概要

開設時期
当院の復職デイケアは、北海道で初めてのリワークデイケアとして2006年1月に開始しました。
2007年10月より、一般的な職場のフルタイムの勤務時間に準じた時間割になりました。
復職者の人数
2007年10月以降に当院の復職デイケアを経て復職された方は約740人になります。(のべ人数。2023年7月現在)
修了者の再休職率・就労継続率
復職時の体調や労働条件、労働状況は各個人によって異なりますが、当院で復職準備性(復職しても病状が悪化することなく就労が続けられる状態)が整ったと判断し復職された方(デイケア終了時の転職を含む)の1年後の就労継続率は85-95%程度です。


2014年5月から2018年8月までに復職デイケアを経て復職した方の
6か月の就労継続率は90%、12か月の就労継続率は86%、24か月の就労継続率は76%でした。

2018年9月から2020年12月までに復職デイケアを経て復職した方の
6か月の就労継続率は94%、12か月の就労継続率は86%、24か月の就労継続率は81%でした。

2021年1月から2023年8月までに復職デイケアを経て復職した方の
6か月の就労継続率は98%、12か月の就労継続率は94%、18か月の就労継続率は87%でした。

(2023年9月現在、カプランマイヤー法による計算)
参加者の年代
参加者(お仕事を休職されている方)の年齢は10歳代から60歳代前半です。
参加者の業種
参加者の業種は事務職、営業職、販売職、SE、教育職、医療職 などの方が多いです。
参加対象となる疾病
うつ、適応障害、身体表現性障害、統合失調症(陽性症状が落ち着いている方)、自閉スペクトラム症、注意欠如多動性障害 などで休職中の方が参加しています。
1日の参加人数
現在の平均利用者数は1日約50人です。
3つのグループになっており、1グループ15-20人前後で行っています。
参加期間
復職された方の平均利用期間は約7か月です。(プレリワークを除く)

デイケアに参加するには・費用

基本的には保険診療となります。料金は3割負担で1日3,500円程度です。
また、下記制度を使うことで医療費の自己負担を減らすことができます。
(1日あたりの復職デイケア医療費 通常:3500円⇒自立支援適用:1170円程度)

【医療費助成:自立支援医療制度について】
精神疾患を持ち、継続的に入院によらない精神医療(通院医療)を受ける方が、公費によって医療の補助を受けることができる制度です。
届け出した医療機関の診察・そこから処方される精神科領域の薬代(届け出を出してる薬局に限る)は、1年間1割負担となります。
また、世帯収入により決定される月の上限額以上の負担は発生しません。
上限額は収入に応じて2,500円、5,000円、10,000円、20,000円のいずれかとなりますが、ご自身の上限額についてはお住まいの市役所・区役所等にご確認ください。

参加開始までの流れ

どこの医療機関にもかかっていない方は初診の予約をお取りください。
説明会から参加することもできます。
当院通院中の方は診察にて医師が回復の度合いを見て、デイケア参加について説明します。


説明会参加の予約を取っていただきます。  
他院からの参加の場合は、電話で説明会をご予約ください。(電話 011-280-0556)
第1・3水曜日に復職(リワーク)デイケアの説明会を行います。  
時間はいずれも15時30分からおよそ17時までです。
参加費無料ですが、保険証をご持参ください。  
ご家族や職場の方も参加できます。 
デイケア初参加の日程についても説明会でご相談ください。


院内で受け入れ会議を行い、デイケア参加を正式に決定させていただきます。

参加を迷っている方へ

自分の状態が分からず参加を迷っている方、職場と状態を共有してから参加をしたい方へ

【アセスメント検査と外来判定検査のご案内】

外来診療の場では、かなり辛そうな状態であっても「休まないとダメなのかわからない」「どうしていいかわからない」と言われる方が多くいらっしゃいます。

当院では、「アセスメント検査」「状態把握のための3日間の外来判定検査」という形でデイケアの場に参加していただくことによって、治療・自宅療養の必要性や復職の準備性などを判断する詳しい検査を実施します。医学的で客観的な評価の結果を踏まえて、リワークデイケア参加を含めた治療方針や、職場復帰の時期を検討することを推奨しています。

慣れない環境で、様々な検査を受けることを負担に思う方もいらっしゃると思いますが、治療や検査が必要な方に必要な医療を知ってもらう良いタイミングでもあると考えています。

メンタル疾患で不調となり、そのまま退職される方が多くいらっしゃいますが、これまで様々な経験をされて培ったスキルが失われるのは企業にとっても個人にとっても大きな損失となりますので、退職をされる前に治療による回復の道を提案します。

また、既に転職を決めている方にとっても、「元気」になった状態を確認してから、次のステップに行くことが望ましいと考えております。

当院ではお一人ずつ心身の状態と希望を確認しながら、復職、就労のお手伝いをしております。

アセスメント検査での確認項目
治療・自宅療養・リワークデイケアの必要性
①「体力・体調(病気の症状)」の確認
②「課題の遂行能力」の確認
③「対人関係能力」の確認
④「心理的側面」の確認
⑤「不調に至った要因分析と対策」の確認
総合的な評価
アセスメント検査の参加日数、費用など
1日のデイケア参加
医療費は保険診療で、3,500円~
約一週間後の診察時に検査の結果をお伝えします。
※検査結果をお伝えした後、ご本人様のご希望される場合、文書を作成いたします。
状態把握のための三日間の外来判定検査での確認項目
復職準備性が整っているかどうかを判定
①「体力・体調(病気の回復度)」の確認
②「課題の遂行能力」回復の確認
③「対人関係能力」の確認
④「心理的側面」の確認
⑤「不調に至った要因分析と対策」がなされているかどうかの確認
総合的な評価
状態把握のための三日間の外来判定検査の参加日数、費用など
3日間のデイケア参加医療費は保険診療で、12,000円~
約一週間後の診察時に検査の結果をお伝えします。
※検査結果をお伝えした後、ご本人様がご希望される場合、文書を作成いたします。

 

 

よくあるお問い合わせ(FAQ)